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『大誘拐』 [読書]

天藤 真『大誘拐』

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

  • 作者: 天藤 真
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2000/07
  • メディア: 文庫



大誘拐 RAINBOW KIDS [DVD]

大誘拐 RAINBOW KIDS [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD



こちらも読み返し。
出会いは、1991年に製作された映画のテレビ放映。
その後も何度か再放送され、そのたびに必ず見ていました。

しばらくして原作小説があることを知り、読んでみると、原作を忠実に映像化していることが
わかってなんだかとてもうれしくなったものです。
原作は週刊文春ミステリーベスト10で20世紀国内部門第一位になっていたんですね。
ミステリーというよりはコメディ色の強い作品ですが、作者は推理小説家ですし、
エンターテイメントとしては間違いなく、私の中でも一位です。

物語は日本一のお金持ちのおばあちゃんが、
刑務所帰りの3人の若者に誘拐されることから始まります。
身代金は当初の予定では五千万円。
ところが人質のはずのおばあちゃん「私はそない安うはないわ」「百億や」

この「百億や」とおばあちゃんが言い切る場面。
活字で読んでいても、映画で北林 谷栄さんが演じているシーンが思い浮かびます。
鳥肌が立つほどわくわくする瞬間です。

大抵の映画化作品は原作を先に読むようにしているのですが、
この映画についてだけは先に映像を見ていて本当に良かったなと、思います。
どの役者さんも絶対この人だ、といえる絶妙な配役です。
なにより北林 谷栄さん、主役のおばあちゃんはこの人をおいて他にはないでしょう。

最近は年齢を感じさせないきれいな女優さんはたくさんいるけれど、
北林さんのように年齢との違和感がなくて、でも素敵な歳の重ね方をされている女優さんは
あまりいらっしゃらないような気がします。

私の中では北林 谷栄さんと、『八月の狂詩曲』の村瀬 幸子さんが、
理想のおばあちゃん同率首位です。こんなおばあちゃんになりたい。

また映画が見たくなってしまいました。
最近はさすがに放映しなくなりましたので、DVDを買ってしまおうかな。

『オレンジの壺』 [読書]

宮本 輝『オレンジの壺』
オレンジの壺 上  光文社文庫 み 21-2

オレンジの壺 上 光文社文庫 み 21-2

  • 作者: 宮本 輝
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 文庫


久しぶりにちゃんと読み返してみた。ななめ読みでなく読破したのは、おそらく10年ほど前にはじめて読んだ時以来。
高校時代に友人が『ドナウの旅人』を気に入って、薦めてくれたのに読んでいなかったことを思い出したのは、確か就職して少し経った頃。読了後に、大学からの別の友人に感想を洩らしたところ、なら『オレンジの壺』も読んでみたらと貸してくれたのが出会い。

『ドナウの旅人』の感想は、「高校生の時に読まなくて良かった。」
思春期の私が読んでいたなら、きっと読後のもやもやに耐えられず、二度とこの作者の本に手を出さなかっただろうな、と思った。10年前の私は『ドナウの旅人』について、「まあ、わからなくはない。」と思えるほどにはなっていたから『オレンジの壺』も読んでみた。

感想は、『ドナウの旅人』以上にもやもやを抱え、でもそのもやもやを消化できない私はまだ大人ではないのだなぁと、変に納得した。もやもやの大部分は物語の謎に対する主人公の回答が、物足りないからなのだけれど、それを除いたとしても主人公に共感できなかった。でも主人公に共感できなくても、小説そのものを理解することができれば、もう少し大人になれるかなと思ったのだ。

前回は主人公よりも若かったけれど、今回は結構年上になっている。さて、感想は…
やっぱりまだまだかなぁ。

友人に本を返した後、わざわざ自分用に買ったのは、こうやって何年かおきに読み返して、過去の自分を思い出すためだったのかと、思ったりもする。
『ドナウの旅人』ももう一度読んでみようかな。でもあの本はもう手放しているし、何より長いんだよな。。。

この小説家の大ファンというわけではなく、どちらかというと苦手意識があったりするけれど、『オレンジの壺』はこの先も手放さないだろうな。

本を手に取る条件 [読書]

 ハードカバーの本は滅多に買わない。値は張るし、場所はとるし、何より気が付くと文庫本が出ていることがおおいから。
 それでも年に一、二冊だけ買ってしまうことがある。好きな作家の新作がつい目に留まって気になってしまったり、立ち読みしてどうしても続きが気になってしまったり、「これはなかなか文庫にならないかも、でも読みたい」と思ったりしたときなどである。
 もう一つハードカバーに手をのばしてしまう条件がある。装丁が美しい本。
 もちろん本文も斜め読みで確かめるし、内容が気に入らなければ買わないけれど、たとえばいつもなら文庫が出るのを待つであろう本がそれなら、買ってしまう。それは綺麗な本を本棚に並べたい欲求と、美しい装丁を生み出した本文に対する魅力を感じるから。
 そんな買い方をした本は、今までにも二、三回しかないけれど。そんな出会いを求めて、時々はハードカバーの平積みを眺めていたりする。
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本のこと [読書]

読みたい本はたくさんあって、きっとこれからも増えていく。
古典も読みたいし、名作も読みたいし、今の作家の新作も読みたい。
純文学も恋愛小説も推理小説もミステリーも読みたい。
いつか読む本リストはどんどん増えるのに、
読んだ本リストはぜんぜん増えない。

人生は短い。そう思うのはこんなとき。


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読後のこと [読書]

小説を読んでいると、時間を忘れ、今いる場所を忘れ、
自分自身の存在を忘れてしまうことがあります。
初めて読む本ではまってしまったときが特にひどくて
読み終わってからしばらくは頭の中が自分に戻らなくなります。

登場人物になりきってしまうというわけではなく、
ちゃんと私が私であることに変わりはないのですが
頭の中で考えるときの文体が登場人物の口調やその小説の文体に
毒されてしまうのです。

本を読んでいる間はなにも考えずにただ文字を追っているので
読み終わってから一気に頭の中にその本に対する感想や考えが浮かんできます。
それらが普段の自分の口調ではなくなっているのです。
その感想が肯定的なものでも否定的なものでも関係なくなのですが
普段の自分の文体ではないので、他人が頭の中に居座っているような錯覚を覚えます。

感化されやすいのかなと思うと少々情けないのですが、
自分で切り替えるよう努力をしています。

でも最近はそれほどまでのめりこめる本になかなか出合えないのですが。


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