私が私であること

「それがなくなったら”君”じゃなくなるのかもしれないけどな。」

いろいろなことに悩み、自分がたくさん悩みを抱えているということすら
悩みにしてしまっていた私にある人が言ってくれたことです。
”君”のところは私のフルネームでした。
恋人だったわけでも好きな人だったわけでもありませんが、
そのときの私を真剣に心配してくれていた人のうちの一人でした。

私が考えていることは他の人から見ればささいなことだったり、
私が悩む必要はまったくなかったりすることが多い。
そんなささいなことまで考え込んでしまうことは、けしていいことではないけど、
でもそういう部分も含めて”私”なのだから、
私が”私”であることまで悩む必要はないのだと。

もう何年も前のことだけど、
私が今でも時々記憶のなかから取り出す大切なことばの一つです。

いびつな円

小学校のときの先生に言われたことです。
「人はみんないびつな円なんだよ。」

完全にまんまるな円である人はいない。
みんなどこかが飛び出したりあるいは引っ込んでいたりする。
飛び出したところだけ見れば、すごい人に見えるかもしれない。
けれど反対から見たら引っ込んでいる。
でもきっと飛び出したところと引っ込んだところをあわせればまんまるになるのではないかな。
飛び出したところだけを見るのも、引っ込んだところだけを見るのも間違いで、
どちらも見るのでなければその人を理解することはできない。

もちろんそれは自分にも言えることで、
何かができることだけ、できないことだけで自分を判断してはいけないということ。

放課後一人で残っていた教室で、何の話からこんなことを言われたのかは
忘れてしまったけれど、時々あのとき先生が紙に書いたいびつな円を
思い出すことがあります。

リセットすること

誰かのことを考えているとき、それが友人でも恋人でも、
相手も同じように私のことを考えていてくれるといいと思う。
でも、それはそうだったらいいな、というだけで
現実にはそんなことはめったにないことはわかっています。

もし誰かが、私のことを考えているとして
それが好意的なものかどうかはわかりません。
もしかして、悪意や嫌悪の感情が私に向けられているとしたら、
と考え始めると、ちょっとしたことでも悪く考えるようになってしまいます。

「人があなたのことなんてそんなに考えているわけないじゃない。」
高校のときの先生がおっしゃったことです。

人の評価を気にすることはけして悪いことではないと思います。
それによって向上心を持ち続けることができるのであれば。
でも常に良い調子を保つことは難しいから、時々リセットすることも必要なのです。

私は誰か特定の人のことをずっと考えたりすることがあるかしら。
そんなことは、まず私がしていないのです。